フェイスブックのページ(こちら)で「蘭日通商条約はもう効かないと聞いて居ますが、如何でしょうか?」というコメントがありました。一言でまとめれば、日蘭条約の枠組み自体はまだ有効で、日本国籍保有者はとても有利な条件でオランダでの起業・滞在が認められています。以下に日蘭条約の歩みをまとめましたのでご参照ください。
<日蘭条約の歩み>
- 1912年に締結された日蘭通商航海条約(日蘭条約)により、日本国籍保有者には最恵国待遇が与えられる。
- 日蘭条約は長らく死⽂化
- 光が当たったのは2004年。日蘭条約に規定されている最恵国待遇とアメリカ・オランダ間で1956年に締結され た友好条約(アメリカ⼈のオランダでの起業・滞在を容易としたもの)を組み合わせれば、日本⼈にもアメリカ人と同等の権利が与えられえるべきとの論⽂が発表される
- 日本⼈の在留許可を巡る実際の裁判でこの点が争点となり、2008年に上記の主張が認められ、⽇本⼈の起業が容易となるルートができる
- 2013年、1875年に締結されたスイス・オランダ間で結ばれた友好条約を最恵国待遇の根拠とすべきとの最⾼高裁判断が出される。政府側は無視
- 2014年12⽉24日、松⾵館の茶室を建造する際の労働許可と罰金を巡る裁判の結果、スイス国籍者と⽇本人は同じ待遇であるべきと最⾼裁が再度ダメ押し(松風館ルール)
- 2015年3⽉にかけて移⺠局等の政府機関が松⾵館ルールを受け⼊れると表明。個⼈事業主としての起業と同時にオランダ労働市場に自由にアクセスできる(労働許可取得は不要)という条件が認められる
- しかし松⾵館ルールは⾏政と司法の双⽅にとってパンドラの箱。政府は思ってもいない苦しい立場に追い込まれていく
- 押され気味のオランダ政府が取った起死回生の解決⼿段がスイス政府との間で秘密裏に進めた「条約の解釈の明文化」という策。 「スイス⼈と同等」の根拠が崩れる。これを法的な手段で既成事実化(2016年6月20日)。
- 2016年6⽉21日、移⺠民局は2016年10月1⽇以降、日本国籍者がオランダで就労する際には労働許可が不要という条件を無効とすると発表(その後「各⽅面からリクエストがあった」とのことで変更⽇は2017/1/1に延期)
- 2017年1⽉1日から就労にあたっての労働許可は再度必要に。起業は日蘭条約とアメリカ・オランダの条約の枠組みであるため2020年現在も可能
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